文化資源学
Online ISSN : 2433-5665
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研究報告
法隆寺金堂壁画焼損前の文化財保存関連法規の改正議論―重点的保護を中心に
太田 由紀
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2023 年 21 巻 p. 15-29

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抄録

1950年に成立した文化財保護法は、その成立の直接の契機を1949年1月の法隆寺金堂壁画の焼損にもつ。同法の成立史については、主に国立国会図書館憲政資料室所蔵のGHQ/SCAP文書を用いて草案・法案の変遷過程を論じた先行研究がある。これら先行研究では、保護対象の厳選化・等級化により重点的保護を進める、という考えが1949年以降に提案されたと指摘されている。

本稿では、日本側資料を参照することにより、すでに1947年11月以降には厳選化・等級化による保存の重点主義が提案されていることを明らかにした。

1947年11月には厳選保存が参議院文化委員会で提唱され、1948年1月から4月にかけて開催された文部省と国立博物館による国宝保存法等の改正検討では、重点的保存のために、重要美術品法を廃止した上での等級の設定が目指された。同時期に、教育刷新委員会においても同様の議論がなされていた。1949年にこれらの先行議論を踏まえた案が参議院常任委員会専門員よりCIE美術記念物課に提出されたと考えられる。

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