文化資源学
Online ISSN : 2433-5665
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最新号
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研究報告
  • 佐々木 朋子
    原稿種別: 研究報告
    2024 年22 巻 p. 1-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/15
    ジャーナル フリー

    本稿は、近代化の過程における化粧を、生活のなかの「芸術(アート)」と捉えた男性美容家 藤波芙蓉を取り上げ、暮らしのなかで試みられる化粧について検討することを目的とする。

    化粧を生活のなかの「芸術」と捉えた芙蓉の主張とは、何を意味し、どのように評価され、暮らしのなかで実践する化粧行為として、受け止められていたのかについて、同時期に活躍した美容家との相違を含めて考察を試みる。

    まず、芙蓉の立ち位置を確認することを目的に、美容家とメディアの関係性について考察した。次に芙蓉の経歴を確認した上で、著書を手がかりに、芙蓉が提唱する視座について整理を図った。そして、芙蓉が手がけた美容相談記事を取り上げ、芙蓉と読者のやり取りを踏まえて、芙蓉が果たした役割について分析した。

    化粧を生活のなかの「芸術」と捉える芙蓉は、同時代に活躍した他の美容家とは、志を含め大きく異なる存在であること、また、自らの信念を「化粧道」として説く真髄とは、西洋の美顔理容術を自らの肌で実験した上で、日本人の肌に適合すると判断した「化粧術」、加えて、家庭において自製する「化粧品の調製法」を軸に構成されるものであった。

    習慣化の側面を携えた地道な「芸術」は、女性たちが自分の身体に関心を向け、日々の生活の連続性をもって、本来の身体に戻す所作であった。そのような意味でも、生活のなかの「芸術」としての化粧とは、その場しのぎの技ではなく、人生美を紡いでいく道、「化粧道」でなくてはならなかった。

  • 三石 恵莉
    原稿種別: 研究報告
    2024 年22 巻 p. 13-23
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/15
    ジャーナル フリー

    民藝運動発祥の地、京都。1929(昭和4)年に開催された「日本民藝品展覧会」を契機に、金関丈夫、菅吉暉、鈴木庸輔、中村直勝、山田保治、湯浅八郎が「京都民藝同好会」(以下、同好会)を結成した。のちに秋葉貞二、小野直養、深瀬基寛、松尾巌も加わった同好会は、戦後に発足する京都民藝協会の前身とされている。しかし、京都大丸百貨店を会場として1933(昭和8)年から5回の「民藝品展覧会」を開催したということ以外、その活動の実態については明らかになっていない。本稿では、「民藝品展覧会」の目録(第5回展の目録は所蔵不詳のため第1~4回のみとする)及び当時の新聞に掲載された記事や広告を基に、展覧会の内容について、また同人たちのネットワークについて検証する。「一度出陳したものは出品しない」主義を掲げ、多数の出品協力者を得て開かれた同好会の展覧会は1937(昭和12)年で幕を閉じたが、同人たちのネットワークはその後も京都のみならず愛媛や福井といったゆかりの地に広がっていった。

  • 栁澤 健太郎
    原稿種別: 研究報告
    2024 年22 巻 p. 25-38
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/15
    ジャーナル フリー

    宗教哲学者として知られる波多野精一(1877-1950)の著作にある引用注・文献表において、個人蔵書からの引用・参照の占有率を調査し、波多野にとっての個人蔵書の重要性を明らかにした。具体的には、『波多野精一全集』新版における引用注・参考文献表を網羅的に確認し、東京神学大学図書館・玉川大学図書館で所蔵する各波多野文庫の目録と照合して、個人蔵書からの引用・参照の割合と、その傾向とを確認した。

    照合にあたっては、引用注・文献表に記載された書誌情報が波多野文庫その他の目録の記載と一致または類似するかを確認し、その件数と割合を調査した。その結果、波多野の全著作での引用注・文献表に記載された資料のうち8割弱が両波多野文庫からの引用・参照で占められることが確認できた。また、玉川大学波多野文庫と東京神学大学波多野文庫は、書誌データ総数の比は概ね1:3であるものの、引用・参照された資料の書誌データ数では、玉川大のものを最少に想定しても2:3、最多に想定すれば1:1の比であった。なお、著作全体での引用・参照のうち、所属した大学図書館の所蔵資料の占める率は2割弱であり、東京帝国大学在学中の著書・論文における東京帝大附属図書館からの引用・参照も2割弱、主著3部作全体における京都帝大附属図書館からの引用・参照も2割弱であった。

    以上のとおり、波多野の引用注・文献表において個人蔵書、特に玉川大学波多野文庫からの引用の占有率が高いことから、波多野の執筆活動における個人蔵書の重要性、特に玉川大学波多野文庫の重要性が確認された。

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