抄録
我が国では,スケーリング抵抗性の評価試験法として,海外規格を準用した方法や独自設定した方法が混在しており,基準となる方法は定められていない。そこで本研究では,我が国で準用される海外規格からASTM C672法およびRILEM CDF法を対象とし,各々の試験方法の相違がスケーリングの発生性状に及ぼす影響について検討を行った。その結果,両試験法におけるスケーリング量およびその変動係数には相違が生じることが確認され,主にスケーリング量の相違には,試験溶液の供給方法の違いが大きく影響することが示唆された。また,スケーリング速度の経時的推移について検討した結果,両試験法間に生じるスケーリング量の相違や水セメント比毎に生じるスケーリング量の相違は,概ね凍結融解試験開始初期のスケーリングの発生量に支配される様相が認められた。