コンクリート工学論文集
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溶脱変質に伴うC-S-H相の構造変化
山本 武志広永 道彦
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キーワード: 溶脱, 水和物, 変質, NMR, 人工バリア
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2010 年 21 巻 2 号 p. 2_13-2_23

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抄録

溶脱変質の進行に伴い,セメント硬化体に含まれるポルトランダイト(CH)の消失に続きC-S-H相のCa/Si比の低下が生じる。セメントの種類によりCH変質フロント進行速度およびC-S-H相のCa/Si比の低下速度は異なるが,いずれの場合でもC-S-H相のCa/Si比の低下はSiの連結度を高め,29Si-NMR分析により鎖端(Q1)に対する鎖中(Q2)の存在割合が高まることを確認した。また,Ca/Si比が1.0程度にまで低下するとSiの連結度がさらに高まり,鎖の分岐を表すQ3シグナルが発現することを明らかにした。C-S-H相の溶脱変質の進行に伴い,C-S-Hの構成単位と考えられる粒径10~30nmの粒状体が縮小するため,C-S-H相内に微小な空隙が多く形成される。

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© 2010 公益社団法人 日本コンクリート工学会
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