抄録
ムギ類赤かび病は開花から登熟初期の短期間に感染することが知られており, 第一次発生源は子のう胞子であるとされているが, 子のう胞子が飛散するには子のう殻が水にぬれて膨潤することが必須であり, また, 胞子が発芽して菌糸が生長するには飽和に近い多湿条件が必要である。従って, 開花から登熟初期に雨が多いと発病が激しく, 逆にその時期に雨が降らなければ発病しないので, 自然感染によって抵抗性を適確に判定するのは困難であり, 一方, 開花から登熟期にある大量の材料に高温多湿の条件で人工接種するのも容易でない。今回報告する"切り穂検定法"は熟期の異なる大量の材料の抵抗性を検索するために開発した方法である。