抄録
作物の生育診断と生育調節技術を発展させる上では, 作物の生理状態を的確に把握する方法の確立が求められる.本研究では, その手段を探る研究の一貫として, 音刺激に対する植物体の反応が表面電位の測定によって検出可能かどうかを検討した.その結果, ダイズ葉の表面電位には, 光, 接触, 熱, 煙, 冷水, 電気および酸刺激に対応した明確な変化が認められた.しかし, 熱湯あるいは代謝阻害剤を処理した個体およびKCI溶液を含ませた濾紙では, この変化は認められず, 生体反応に対応した葉面電位を測定できていることが確かめられた.ダイズおよびキュウリの葉面電位には, 音の有無にかかわらず, ランダムな時間間隔でパルスの発生が認められたが, その発生様相は音刺激によって影響を受け, とくに30〜290Hz帯域の音の影響が大きいことが窺われた.