環境と安全
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報告
白川流域における河川水および湧水の窒素濃度の経月変化と収支
北﨑 結子松添 直隆石橋 康弘小林 淳
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キーワード: 窒素, 河川, 流達率, 物質収支
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2017 年 8 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

本研究では、白川流域を対象に窒素の収支解明のために、白川水系の河川水および湧水中の窒素濃度の経月変化を調査した。白川における全窒素の平均値±標準偏差は1.11±0.34 mg L−1n = 205)、アンモニア性窒素は0.079±0.12 mg L−1n = 238)、亜硝酸性窒素は0.0071±0.010 mg L−1n = 236)、硝酸性窒素は0.65±0.31 mg L−1n = 241)であった。全窒素濃度および硝酸性窒素は、降水量が多い6月から7月にかけて低く、8月から翌年5月にかけてやや高い傾向であった。一方、河川水中の全窒素量の経月変化は、降雨の多い6月、7月にピークを示したのち減少に転じ、8月から翌年5月にかけては大きな変化は観察されなかった。流域全体の窒素負荷量(生活雑排水、施肥、降水、窒素固定)は合計で約3,010 t Nと推定され、流達率は約0.66と見積もられた。農地における窒素収支を推定したところ、余剰窒素は66 kg N ha−1 year−1と見積もられ、既報値と類似した値であることが示された。

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© 2017 Academic Consociation of Environmental Safety and Waste Management,Japan
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