抄録
本論では「日本人の西洋音楽の演奏に日本語が影響を及ぼしている」という仮説を検討
し、そこから導かれる問題を示す。はじめに日本人の演奏が西洋人には何かしら違和感を
持って受け止められてきたことと、そうした演奏の原因の1 つとして日本語の影響がこれ
までにも指摘されてきたことを確認する。そして、日本語とリズムとイントネーションと
日本的演奏の類似点をあげ、次いで西洋諸語および彼らの演奏との相違点を指摘し、その
原因として「母語の干渉」という問題を取り上げる。最後に、そうした日本語的演奏をい
わばクレオール語のようなものしてとらえる視点を示し、その意味を問う。