抄録
皮膚の免疫機能を利用する経皮ワクチンは,注射によるワクチン投与にくらべて非侵襲的で安全性が高く,その輸送や保管が簡単であることから新しいワクチン投与方法として期待されている.また経皮ワクチンは,皮膚の前処理方法やアジュバントの選択によってTh1/Th2免疫応答を調節できることから抗原ごとに製剤の最適化が可能である.現在,経皮ワクチンデリバリーシステムは,アジュバントの最適化や抗原の物理的投与方法の開発が進められており,臨床試験が進められているものもあり,予防医学上も期待される技術となっている.