Drug Delivery System
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22 巻, 4 号
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特集 “皮膚バリア機能と皮膚を介するDDSの進歩” 編集 : 杉林堅次
  • 表皮構造の観点から
    北島 康雄
    2007 年 22 巻 4 号 p. 424-432
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/02
    ジャーナル フリー
    皮膚の水・空気環境バリア機能に関して最も重要な構造は,角質細胞間にある脂質多重層構造である.これを恒常的に構築する細胞が表皮ケラチノサイトであり,その最終分化細胞の角質細胞は強靱な細胞シート構造を保ち,脂質多重層を柔軟に強く保持している.そのために,ケラチノサイトは細胞内にはケラチン中間径線維とデスモソーム,アドヘレンスジャンクション(Jnc),タイトJnc,ギャップJncなどの細胞接着構造を発達させている.その分子変異や機能異常は角化異常とバリア機能不全をきたす.これらの分子の制御はDDSの制御につながる.
  • 高橋 元次
    2007 年 22 巻 4 号 p. 433-441
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/02
    ジャーナル フリー
    皮膚の生理学的性質を非侵襲的に測定する方法は皮膚計測工学の分野において数多く開発されてきた.それらは角層水分量,肌理,TEWL(経表皮水分蒸散量),皮膚色,血流,皮脂などであるが,最近,無侵襲で皮膚内部を観察する生体顕微鏡が開発され,物質の経皮吸収測定に活用されている.本稿では,in vivo共焦点ラマン顕微鏡と多光子顕微鏡を用いた測定例について述べる.
  • Richard H Guy
    2007 年 22 巻 4 号 p. 442-449
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/02
    ジャーナル フリー
    Transdermal drug delivery represents a validated technology which is contributing significantly to global pharmaceutical care. Over the last 40 years, impressive growth in this field has been observed with many commercial successes;indeed, very recently, a new chemical entity has been developed and approved for transdermal administration without first passing via an injectable or oral dosage form. The progress achieved has been catalyzed by the clearer understanding of skin barrier function, and of the physicochemical, pharmacokinetic and physiological factors which determine the feasibility of transdermal administration. Research into novel, non-invasive approaches to facilitate and control drug transport across the skin is intensive, with certain technologies, such as iontophoresis, now achieving true maturity. Advances in the field have also allowed the "local", subcutaneous delivery of drugs (for example, to underlying muscle and other tissues) to be improved and the opening of new markets in this lucrative area may be envisaged.
  • Globalな視点から
    渡邉 哲也
    2007 年 22 巻 4 号 p. 450-457
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/02
    ジャーナル フリー
    最近,経皮吸収型製剤の開発は経皮吸収性にすぐれていることや剥離後の副作用の回避が出来るという利点だけでなく,臨床の必要性と明確な利点が重要視されている.たとえば,麻薬鎮痛薬のフェンタニルや気管支拡張薬のツロブテロール,そして尿失禁薬のオキシブチニンなどである.また,臨床で求められている製剤を開発できれば,経皮吸収型製剤は経口製剤と同様にglobalな展開が可能であると考えられる.
    そこで,本稿においてTTS製剤の利点や臨床の必要性について説明する.
  • 羽田 乃武子, 藤堂 浩明, 杉林 堅次
    2007 年 22 巻 4 号 p. 458-467
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/02
    ジャーナル フリー
    近年の再生医療の進歩に伴い,“培養皮膚代替物”はすでにさまざまな創傷治療で成果をあげ,重症火傷患者の救命率向上に大きく寄与している.培養皮膚代替物の適用(移植)の際,細菌による二次感染防止のため抗生物質軟膏などを用いた薬物治療が行われているが,この場合,移植皮膚表面に薬剤を適用するよりも予め抗菌物質を封入した培養皮膚代替物を製剤として直接適用するほうが効果的な治療が期待できると思われる.本稿では,重症火傷や褥瘡などの皮膚欠損に対する新規DDSとしての培養皮膚型貼付剤に関する研究結果について紹介する.
  • 大森 直哉, 後藤 武, 佐藤 秀次
    2007 年 22 巻 4 号 p. 468-475
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/02
    ジャーナル フリー
    皮膚の免疫機能を利用する経皮ワクチンは,注射によるワクチン投与にくらべて非侵襲的で安全性が高く,その輸送や保管が簡単であることから新しいワクチン投与方法として期待されている.また経皮ワクチンは,皮膚の前処理方法やアジュバントの選択によってTh1/Th2免疫応答を調節できることから抗原ごとに製剤の最適化が可能である.現在,経皮ワクチンデリバリーシステムは,アジュバントの最適化や抗原の物理的投与方法の開発が進められており,臨床試験が進められているものもあり,予防医学上も期待される技術となっている.
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