2008 年 23 巻 5 号 p. 526-528
近年,神経再生に有用と思われる幹細胞が,神経系のみならず,その他の組織からも調整が可能となってきた.これらの幹細胞は,増殖や分化する能力が高いばかりでなく,移植後はホスト脳神経組織への親和性が高く,損傷部位へ遊走能し,状況に応じて分化するので,細胞治療の有力な候補となっている.
自己の骨髄細胞を用いた脳梗塞治療などの場合,利点としては,発症よりある程度時間が経過してからでも治療の可能性がある,ということである.従来の治療のゴールデンタイムがきわめて短いこととくらべると,注目すべきと思われる.現在の研究がさらに発展し,新治療法として成熟することが望まれる.