2010 年 25 巻 1 号 p. 37-45
熱帯熱マラリアは熱帯・亜熱帯地域を中心に流行し,抜本的な対策としてマラリアワクチンの開発に期待が寄せられているが,いまだ著効を示すワクチン実用化の目処はたっていない.
本稿では,世界で実施されてきたマラリアワクチン開発のレヴューとともに,筆者らが発見したマラリア原虫のアキレス腱と考えられるSERA5抗原から開発したSE36マラリアワクチン臨床開発の現状を報告する.また,最近筆者らが見いだした防御エピトープと自然免疫アジュバントの一つであるCpGを組み合わせることにより,より抗原性を改良した第二世代SE36マラリアワクチンの展望について述べる.