Drug Delivery System
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25 巻, 1 号
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特集 “感染症対策に資する新規ワクチンシステムの開発” 編集 : 中川晋作
  • 松尾 一彦, 岡田 直貴, 中川 晋作
    2010 年25 巻1 号 p. 8-14
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/28
    ジャーナル フリー
    皮膚の免疫機能を最大限に利用した経皮ワクチンは,注射に代わる簡便で安価かつ非侵襲的な新規ワクチン手法として期待されている.経皮ワクチンにおいては,抗原を表皮組織に存在する抗原提示細胞へと送達する基盤技術の確立が必須であり,その研究開発が精力的に行われている.
    本稿では,近年の経皮ワクチンデリバリー技術の研究動向についての解説を交えながら,筆者らが独自に開発した親水性ゲルパッチを用いた経皮ワクチンの研究成果について紹介する.
  • 谷本 武史
    2010 年25 巻1 号 p. 15-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/28
    ジャーナル フリー
    従来のインフルエンザワクチンの接種経路は皮下・筋肉内のいずれかであり,その接種目的は,血清に液性免疫を誘導することによる重症化の予防に重点を置いたものである.これに対して感染防御を念頭に置いた場合,インフルエンザの感染経路は粘膜であることから,粘膜に免疫を誘導する手段として,経鼻・経口などのルートで粘膜へワクチンを接種し,局所免疫系を刺激することが有望と考えられる.そのなかでも,抗原の変性のリスクが少なく,接種抗原量を少なくできる経鼻吸収型ワクチンが注目されている.
  • 萱室 裕之, 角田 慎一, 堤 康央
    2010 年25 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/28
    ジャーナル フリー
    粘膜ワクチンは,全身面と粘膜面の二重の防御免疫を誘導可能な唯一の方法であることから,新興・再興感染症に対する予防法として期待されている.しかし,生ワクチンを除いて,いまだ実用的な粘膜ワクチンは皆無であり,その実現に向けては,有効かつ安全なアジュバント開発が必要とされている.筆者らが開発を進めている機能性サイトカインは,防御免疫を効率よく誘導しうることから,粘膜アジュバントとしての可能性が大きく期待されるものである.
    本稿では,粘膜ワクチンおよびアジュバント開発の現状と,筆者らの成果について概説する.
  • 内田 哲也
    2010 年25 巻1 号 p. 29-36
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/28
    ジャーナル フリー
    現行のワクチンは主として病原体表面の蛋白に結合する抗体の産生を誘導することを目的としているため,インフルエンザウイルスのように表面抗原の異なるウイルス亜型および変異体に対しては奏功しにくい場合がある.筆者らはウイルス内部に高度に保存された蛋白を標的とし,宿主のウイルス感染細胞を破壊・除去することのできる細胞性免疫(CTL)を誘導するリポソームワクチンを開発した.CTL誘導型リポソームワクチンはインフルエンザウイルスだけでなく,表面の抗原を頻繁に変異させるウイルスに対するワクチンの開発への応用が期待される.
  • 東岸 任弘, 石井 健, 堀井 俊宏
    2010 年25 巻1 号 p. 37-45
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/28
    ジャーナル フリー
    熱帯熱マラリアは熱帯・亜熱帯地域を中心に流行し,抜本的な対策としてマラリアワクチンの開発に期待が寄せられているが,いまだ著効を示すワクチン実用化の目処はたっていない.
    本稿では,世界で実施されてきたマラリアワクチン開発のレヴューとともに,筆者らが発見したマラリア原虫のアキレス腱と考えられるSERA5抗原から開発したSE36マラリアワクチン臨床開発の現状を報告する.また,最近筆者らが見いだした防御エピトープと自然免疫アジュバントの一つであるCpGを組み合わせることにより,より抗原性を改良した第二世代SE36マラリアワクチンの展望について述べる.
  • 高橋 尚史, 俣野 哲朗
    2010 年25 巻1 号 p. 46-51
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/28
    ジャーナル フリー
    HIVの発見から25年以上を経た今日においても,世界のHIV感染者数の増大はつづいており,その感染拡大阻止の切り札として期待される予防エイズワクチン開発は国際的重要課題である.これまで数々の試みがなされ,臨床試験も進められてきたが,いまだ有効性の確立したワクチン獲得には至っておらず,サルエイズモデルを中心とした基礎研究の重要性が再認識されている状況である.
    本稿では,これらエイズワクチン開発の基礎研究ならびに臨床試験研究の現況を紹介し,その進展状況ならびに問題点について解説する.
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