抄録
近年の医薬品開発では,消化管からの吸収性に及ぼす食事の影響,特に食後の低吸収性が問題視されている.その主な要因は,薬物と消化管内容物との物理化学的な相互作用である.消化管内移動に伴って食事成分は消化・吸収されることから,小腸下部では薬物と食事成分との相互作用は軽減されることが期待される.そこで,小腸下部ほど小腸内pHが上昇する事実に着目し,高pH溶解型の腸溶性のセルロース誘導体を用いた小腸下部への薬物デリバリー技術を開発した.本技術により,食後の低吸収性が解消されることが動物実験を通して確認された.