Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
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25 巻, 4 号
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特集 “経口デリバリーへの新しいチャレンジ” 編集 : 山下伸二
  • 高野 隆介
    2010 年25 巻4 号 p. 362-370
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/05
    ジャーナル フリー
    近年,薬効ターゲットに対する高い親和性を目標として合成・選択されてきた医薬品候補化合物の多くは難溶解性であり,経口投与後の吸収率低下が問題となっている.経口吸収性を改善するために,難溶解性薬物の溶解性,吸収性を評価し,探索研究・開発研究を適切に方向づける方法論の開発が課題である.本稿では,in silicoでのシミュレーション技術を用いた難溶解性薬物のヒト経口吸収率を定量的に予測する方法論を紹介し,それに基づく経口吸収改善戦略について概説する.
  • Claudia da Costa Mathews, Kiyohiko Sugano
    2010 年25 巻4 号 p. 371-374
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/05
    ジャーナル フリー
    Numerous methodologies have been suggested and practically applied to improve the ability to market drug candidates whose development is limited by drug solubility and dissolution rate. These include the use of wetting agents, complexing agents such as cyclodextrins, preparation of high energy drug states related to polymorphic transformations and the use of particle size manipulation. One suggested path forward is the use of a "spring and parachute" approach wherein a technique such as self emulsifying systems allow rapid dissolution of a poorly water-soluble drug at a supersaturated concentration.
    However, this in vivo supersaturated system has the potential to precipitate which will impact negatively on the pharmacokinetics and efficacy of the drug. A formulation component which hinders crystal growth or nucleation then acts as a parachute to stabilise the metastable supersaturated system in vivo is the key to improve the oral absorption of a drug1,2).
  • 玉井 郁巳
    2010 年25 巻4 号 p. 375-383
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/05
    ジャーナル フリー
    小腸上皮細胞で栄養物等の吸収に働くトランスポーターは医薬品の吸収性改善に利用できる.多様なトランスポーター分子が栄養成分の摂取に働いているが,なかでもペプチドトランスポーターPEPT1は基質認識性が幅広く,既存の医薬品自体やそのペプチド化プロドラッグ体を認識する.さらに,酸性pHでより高い輸送活性を示すため,通常の弱酸性の小腸管腔内pHでは輸送が弱い場合であっても,酸性ポリマーを用いる製剤的工夫により吸収部位の酸性化によりPEPT1を介した膜透過性の改善が可能である.その他にも有機アニオントランスポーターOATPや,糖トランスポーターSGLTなども医薬品吸収促進に利用できる.
  • 高pH溶解型腸溶性高分子の利用
    丹野 史枝, 佐久間 信至, 小久保 宏恭, 山下 伸二
    2010 年25 巻4 号 p. 384-391
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/05
    ジャーナル フリー
    近年の医薬品開発では,消化管からの吸収性に及ぼす食事の影響,特に食後の低吸収性が問題視されている.その主な要因は,薬物と消化管内容物との物理化学的な相互作用である.消化管内移動に伴って食事成分は消化・吸収されることから,小腸下部では薬物と食事成分との相互作用は軽減されることが期待される.そこで,小腸下部ほど小腸内pHが上昇する事実に着目し,高pH溶解型の腸溶性のセルロース誘導体を用いた小腸下部への薬物デリバリー技術を開発した.本技術により,食後の低吸収性が解消されることが動物実験を通して確認された.
  • 亀井 敬泰, 森下 真莉子
    2010 年25 巻4 号 p. 392-402
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/05
    ジャーナル フリー
    蛋白質やペプチドなどのバイオ薬物は,消化管粘膜における透過性の低さや不安定性の問題から注射剤による投与方法に制限されている.そこで筆者らは,cell-penetrating peptides(CPPs)と総称される細胞膜透過ペプチドを利用し,これらバイオ薬物の経口製剤化の実現に向けた研究を行っている.本稿では,まずCPPsを利用した近年のDDS研究動向をアップデートし,その後,蛋白質・ペプチドの消化管吸収改善におけるCPPsの応用性について筆者らの検討結果を紹介する.さらに,鼻粘膜吸収への応用性や吸収改善メカニズムについて展開し,バイオ薬物の非侵襲的投与経路におけるバイオアベイラビリティ改善ツールとしてのCPPsの有用性について示したい.
  • 佐久間 信至, 日渡 謙一郎, ロバート ホフマン, 山下 伸二
    2010 年25 巻4 号 p. 403-410
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/05
    ジャーナル フリー
    大腸粘膜内に留まる転移リスクのない発生初期の大腸がんをリアルタイムに診断し,内視鏡下で切除することを可能にする世界初の大腸内視鏡検査用造影剤を開発する.造影剤は,がん化に伴い大腸粘膜上に発現する特異抗原の末端糖鎖を認識するピーナッツレクチンおよび正常部位との非特異的相互作用を抑制するポリN-ビニルアセトアミドを表面に固定化し,クマリン6を内包したレクチン固定化蛍光ナノスフェアである.内視鏡下,大腸粘膜上のがん病変に集積した造影剤の蛍光に由来するがん組織(明部)/正常組織(暗部)のコントラストに基づき,がんを診断する.
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