抄録
新薬開発が伸び悩む近年、臨床各科(呼吸器、循環器、耳鼻科)および感染症領域では、DDS製剤化による既存薬の有効性および安全性の向上が図られている。臨床各科でのDDS製剤の開発においては、薬物の放出制御や標的指向化など、目的とする機能を有する生体材料の導入と高度な製剤技術が成功の鍵を握っている。このような背景により、新規剤形の追加などの日本薬局方の改正も実施された。本稿では、臨床各科および感染症領域において、実際に臨床応用されているDDS製剤の現況をまず整理して、既存薬のDDS製剤化に関して臨床応用に有用な基礎研究の進歩を概説する。特に、吸入デバイス(呼吸器)、ステント(循環器)、新規投与デバイス(耳鼻科)およびワクチン(感染症)に絞って紹介する。