抄録
グローバル企業の医療用医薬品を治療分野ごとに集計し、市場動向を分析した。売上規模は「がん」が1位、自己免疫疾患が2位へとそれぞれ上昇し、数年前まで1位だった循環代謝系は3位へと低下した。躍進したのはアンメットニーズの疾患に新たな薬効ターゲットが創出された領域である。これまで抗体医薬が乏しかった市場に抗PD-1抗体が投入された肺がん、反対に抗体医薬が主流の市場にCDK4/6阻害剤など経口投与の分子標的薬が登場した乳がんといった治療分野が成長した。自己免疫疾患においてもIL-17A、IL-23、インテグリンなど新たな薬効ターゲットが確立された。治療分野としてはJAK阻害剤が注目される関節リウマチ、さらにCD-38、SLAMF7、HDACといった新しい薬効ターゲットが注目される多発性硬化症などを取り上げる。