Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
Print ISSN : 0913-5006
ISSN-L : 0913-5006
特集 “in vivo イメージングとセラノスティクスの新展開”  編集:丸山 厚
89Zr標識ヒト抗体バリアントと新規DDSキャリアによるTheranostics技術
竹中 文章小林 和子木村 俊作小関 英一大槻 高史小渕 浩嗣松浦 栄次
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 33 巻 3 号 p. 214-222

詳細
抄録
Theranosticsは、治療(Therapy)と診断(Diagnostics)を同時に実施できる画期的な医療形態の一概念である。昨今、筆者らは、がん領域において臨床適用が可能なTheranosticsを確立するために、ヒト化・低分子化IgGバリアントであるSingle Chain Variable Fragment(scFv)を作製した。対応抗原は、悪性腫瘍にしばしば発現される分子量40kDaのがん分化関連の細胞膜表面糖タンパク質である。抗原特異的scFvを修飾した新規の生分解性ポリマーからなる高分子ミセル型キャリア、“ラクトソーム”を“母体”とするTheranosticsシステムで、アポトーシス誘導性の低分子干渉RNA(siRNA)などの治療効果をもたらす分子を標的細胞に確実に送達するとともに、89Zrを標識することでPETイメージングによる標的病巣の視覚化を同時に実現する。具体的には、5-アミノレブリン酸(ALA)による光線力学療法(PDT)と光応答性の細胞内siRNA送達システムとの組み合わせにより、限定した標的細胞にのみアポトーシスを誘発することのできるTheranosticsが実現する。
著者関連情報
© 2018 日本DDS学会
前の記事 次の記事
feedback
Top