2018 年 33 巻 4 号 p. 259-267
皮膚は表皮、真皮、皮下の3つの組織からなる。多くの薬物の経皮吸収において、表皮角質層における物理的バリアが律速となる。一方で、ある種の薬物の経皮吸収に対しては、表皮や真皮における生物的バリアも考慮する必要がある。最近の研究から、後者においては、種々のトランスポーターが関与することがわかってきた。さらに、全身投与される抗がん薬の一部は重篤な皮膚毒性を示し、それらの皮膚分布や毒性にもトランスポーターが重要な役割を果たす。皮膚のホメオスタシスに働くトランスポーターは、創薬の標的となるかもしれない。本稿では、現在までに報告されている、皮膚トランスポーターとその機能について、最新の知見を紹介する。また、経皮吸収や皮膚分布、皮膚のホメオスタシスにおいて、トランスポーターがどのように関与するかについても論じる。