オレオサイエンス
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特集総説論文
刺激応答性高分子材料:構造の制御された温度応答性ポリマーの展開
青島 貞人金澤 有紘金岡 鐘局
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2014 年 14 巻 2 号 p. 73-80

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抄録

近年,様々な分野への応用を見据えた,刺激応答性高分子材料の創製が注目されている。本報では,その中でも検討が進んでいる,水中で高感度な応答を示す温度応答性ポリマーを中心に概説する。特に,最近の高分子合成技術の進歩は著しく,例えばリビングラジカル重合により多数のモノマーから構造や分子量の制御されたリビングポリマーが合成されるようになり,その結果,種々の刺激応答性ブロックポリマーなどの新しい材料が創製されている。ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)をはじめとするポリアミド系とポリ(エチレンオキシド)を側鎖に有するポリエーテル系がその代表例である。本文中では,それらのリビング重合による精密合成法からはじまり,温度応答性の特徴や自己組織化にも触れる。また,その後次々と合成されているアミド系,エーテル系のポリマーの例を示し,ポリマー構造と刺激応答挙動の関係を明らかにする。後半部分では,温度応答性ポリマーの典型的な例として,われわれが検討している刺激応答性を有する星型ポリマーや選択的分解性を合わせ持つポリマーの合成,ドラッグデリバリーに利用可能な温度応答性リポソームの例を示す。

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© 2014 公益社団法人 日本油化学会
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