抄録
細胞外小胞(Extracellular Vesicles;EV)は、産生細胞に由来した機能を発揮することから、その機能を利用した治療法の開発が期待される。EVを利用した治療法の中でも特に期待される治療法として免疫療法があげられる。EVを利用した免疫療法は種々存在するが、主には、抗原特異的な免疫療法の誘導を目的としたワクチン療法、そして間葉系幹細胞などの免疫調節能を有する細胞より回収したEVを利用した抗炎症療法の開発が大きく進展している。また、近年では細胞から分泌される小胞であるという特性やその他のEVならではの特性を利用した免疫療法の開発の可能性を示唆する結果が報告されている。本稿ではこれらのEVを利用した免疫療法の現状を紹介するとともに、今後の可能性についても言及する。