抄録
抗体医薬品は医療において極めて重要な役割を果たしている。Fc領域の297番目のアスパラギン残基にはN-結合型糖鎖が結合しており、薬力学および薬物動態において重要な役割を果たす。特に、末端ガラクトース、シアル酸、フコースなどは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、肝取り込みに影響することが知られている。すなわち、糖鎖が抗体医薬品を運んでいる。他方、抗体医薬品の測定は主に酵素結合免疫吸着検査法(ELISA法)が用いられており、糖鎖の変化などは区別できない。しかし、抗体医薬品も生体内での構造変化(バイオトランスフォーメーション)が起こることが明らかにされつつある。そこで、質量分析技術を用いた新たな分析手法が注目されている。本稿では、抗体医薬品における糖鎖の役割に加えて、筆者らの研究成果を紹介する。