抄録
筆者らとオランダのグループは, 最近, リポソームの頻回投与時に発現するABC現象の存在を報告した. ABC現象は, 2回目投与時のポリエチレングリコール修飾リポソームの肝移行性を亢進し, 高い血中滞留性を失わせる反応である. 最近の検討から, ABC現象の誘導·発現には, リポソームの物理化学的性質, 投与量, 種差, などが影響を与えること, また現象の発現には, 初回投与リポソームの刺激に呼応して分泌されるIgMが重要な役割を果たすことが明らかになった. 本稿では, ABC現象に関連した最近の知見について紹介する.