抄録
一般に, 水溶性薬物や高分子薬物は, 経口投与後, 消化管粘膜を透過しにくいため, 経口投与後の吸収率は充分でない. そこで最近では, 経粘膜投与後のこれら薬物の吸収率を改善するため, 種々の方法が試みられている. これらの方法は, (1)吸収促進剤などの製剤添加物を利用する方法, (2)薬物の分子構造を修飾する方法, (3)これら薬物に剤形修飾を行う方法などに分類できる. また, (4)これら薬物の新規投与経路を開発する方法, 特に薬物の経肺投与は有望であると考えられる. 本研究において筆者らは, 各種難吸収性薬物の消化管ならびに経粘膜吸収がこれらの方法により改善できることを明らかにした. したがって, これらの方法は, 薬物の消化管ならびに経粘膜吸収の改善に有用な基礎的情報になるものと思われる.