抄録
各種吸収促進剤による腸管粘膜透過改善の生理学的な作用機構について検討した. カプリン酸ナトリウムは細胞内カルシウムを上昇させ, カルモジュリン依存的なアクチンフィラメントの収縮により, また, デカノイルカルニチンと酒石酸はATPの枯渇と細胞内アシドーシスにより, 細胞間隙ルートを拡大した. 一方, 酒石酸およびピロチオデカンはP-糖蛋白質(P-gp)の機能抑制により, P-gp基質の吸収を改善した. 以上から, 各種吸収促進剤による細胞間隙ルートと細胞内ルートそれぞれにおける薬物吸収制御機構が明らかとなった.