抄録
薬物の皮膚適用は, 肝初回通過効果を回避でき, 長期連続投与が可能であるなどの理由から, 全身治療を目的とした薬物投与法として注目されている. しかしながら, 多くの薬物において皮膚透過性はきわめて低いという問題点があり, 実用化には吸収促進法の利用が不可欠である. 現在までに確立されている吸収促進法は, 大きく物理学的促進法と化学的方法の二つがあげられる. これらの技術の進歩により, 従来型低分子有機化合物のみならず, ペプチド, 蛋白質, 核酸医薬品などの高分子量物質に対しても経皮薬物送達システムの適用が可能になりつつある.