日本皮膚科学会雑誌
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十味敗毒湯ならびにミノサイクリンのPropionibacterium acnesに対する抗リパーゼ作用について
桧垣 修一長谷川 義典豊本 貴嗣宮崎 克子諸橋 正昭山岸 高由
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1993 年 103 巻 1 号 p. 33-

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抄録
十味敗毒湯とテトラサイクリン系抗生物質の一つであるミノサイクリンのPropionibacterium acnesに対する抗リパーゼ作用を検討した.5mg/ml,10mg/ml量の十味敗毒湯及び0.5μg/ml,1μg/ml量のミノサイクリンの一方あるいは両方を添加したPYG-トリプチリン培地にP. acnesを接種し,産生される酪酸およびプロピオン酸量をガスクトマトグラフィーで測定した.この結果,コントロールと比較した場合,両者添加培地上のP. acnesのプロピオン酸,酪酸産生量の低下度は十味敗毒湯あるいはミノサイクリン単独添加群のそれよりも強かった.このことから,P. acnesに対する両者間の抗リパーゼ作用には,協同効果の存在が示唆された.さらに,1MIC量(=50mg/ml)以下の十味敗毒湯添加培地に発育したP. acnesの形態的変化を走査電顕及び透過電顕で観察した.走査電顕による観察では,十味敗毒湯1MIC量添加培地に発育したP. acnesの表面構造的な変化は認められなかった.一方,透過電顕所見では十味敗毒湯1/8MIC量添加培地上に発育したP. acnesの顕著な変性壊死像が見られ,テトラサイクリン系抗生物質と同等の低濃度でもP. acnesリパーゼ産生能への阻害が示唆された.
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© 1993 日本皮膚科学会
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