抄録
1989~1990年の2年間に初診として当科外来を受診した円形脱毛症患者304名を対象として,特に円形脱毛症に合併しやすいと考えられているアトピー性疾患・白斑・甲状腺疾患の3疾患について,円形脱毛症の病型別に統計的検討を行った.その結果,①アトピー性疾患の合併率は高く,単発型では低く,汎発型では高い傾向を示した.②一方,視診・問診にて明らかとなった白斑・甲状腺疾患の合併率は,各々,3.9%・1.0%と低値であった.③しかし,抗甲状腺抗体の検索では,マイクロソーム抗体陽性者は,男性6.7%,女性10.8%と健常人コントロール(男性2.0%,女性3.2%)の各々約3倍の高値を示し,円形脱毛症においては,潜在性自己免疫性甲状腺炎が高率に合併することが示唆された.円形脱毛症の病因は未だ明らかでないが,アトピー性疾患や甲状腺疾患などの合併症についても詳細に検討し,各疾患の病態における共通性に主眼を置き研究を進めていくことも,円形脱毛症の病態解明に有効なアプローチになると思われた.