日本皮膚科学会雑誌
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成人Still病に併発した血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1例
森 健一浜崎 洋一郎植木 宏明阿多 雄之八幡 義人
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1993 年 103 巻 4 号 p. 513-

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抄録
35歳女性の成人Still病に血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を併発したと思われる1剖検例を報告した.初診の3週間前より,発熱や体幹部の紅斑が出没し,検査所見で白血球増加,赤沈値亢進,LDHの増加,血清フェリチン高値,血清トロンボモジュリン(TM)値の増加を認めた.Prednisolone 40mg より投与を開始したが,難治のためミニパルス療法(0.5g×3日)を施行.その翌日より,TTPの5徴候(血小板減少,溶血性貧血,神経症状,発熱,腎障害)が出現し,同時に凝固線溶系の分子マーカー(TAT, PIC, D-ダイマー,TM値)の増加も認めた.TTPは内科領域でも稀な原因不明の疾患であり,成人Still病との合併例は本邦で第1例目と思われる.また,TMをはじめとした分子マーカーが,TTPや他の血栓症・血管炎の早期診断や治療の指標に有用と考えた.
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© 1993 日本皮膚科学会
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