日本皮膚科学会雑誌
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抗ヒト毛髪ケラチン抗体の作製とその特性 (第1報)兎抗体の利用
打和 秀世平野 真小野 靖子村上 梅司太田 実海老名 卓三郎
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1994 年 104 巻 7 号 p. 855-

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抄録

傷んだ毛髪に特異的に結合し,保護する物質として,ヒト毛髪ケラチン蛋白で免疫した兎抗体を利用することが出来た.ヒト正常毛髪から分子量40~70KDのケラチンを精製し,その2mgを完全アジュバントと共に兎の皮下に3回免疫した後,最後に耳静脈より追加免疫し,1週間後採血し,抗体を得た.抗体価がELISA法で免疫前103以下であったものが5.5×105に上昇していた.この抗体は毛髪ケラチンと結合し,表皮ケラチンには結合しない特異性を示した.又,この抗体はヒト正常毛髪に結合するが,特に次亜塩素酸ナトリウム処理やブラッシング処理した損傷毛髪に多く結合することがわかった.兎抗ヒト毛髪ケラチン抗体ヒト毛髪ケラチン抗体で処理した毛髪は非免疫抗体やPBSで処理した毛髪に比べ有意に破断強度が強くなっており,この抗体の毛髪保護作用を示した.

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© 1994 日本皮膚科学会
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