日本皮膚科学会雑誌
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乳房外パジェット病患者における腋窩および乳頭無疹部の組織学的検討
斉藤 浩
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1995 年 105 巻 2 号 p. 147-

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抄録

乳房外パジェット病(EMPD)は,多くは外陰部に発生するが,時に腋窩や他の部位に多発性に発生することが知られ,ダブルあるいはトリプルパジェット病として報告されている.これらの中には臨床的に明らかな皮疹を認めないにもかかわらず,組織学的にパジェット細胞を確認した症例もみられる.我々はこの潜在病変の有無を検討する目的で,昭和60年4月以後,外陰部パジェット病患者16名の腋窩,乳頭無疹部生検を行った.結果は両側腋窩2例,片側腋窩1例,乳頭1例に組織学的にパジェット細胞を認め,いわゆるOccult Paget's Disease(OPD)を確認した.各種染色所見は4例とも外陰部とほぼ同様の結果を示し,パジェット病の多中心性の発生を示唆する所見と思われた.またOPDは自験例を含め文献的にも1例を除き全例男性例であり,この明らかな性差は本症の発症機序を考えた場合,大変興味深い.我々はOPDもEMPDと同様の腫瘍として取り扱い,全例切除している.

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© 1995 日本皮膚科学会
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