抄録
慢性骨髄性白血病でhydroxyurea(HU)を内服中に下腿潰瘍を合併した2例について報告する.症例1:56歳,女.内服2年2ヵ月後に右足関節周囲に多発性潰瘍が出現した.内服は継続し,保存的治療で潰瘍は一旦軽快した.症例2:65歳,男.内服1年8ヵ月で右踵部および外踝に潰瘍が出現した.内服を中止して保存的治療で潰瘍は略治した.組織は2例とも明らかな壊死性血管炎は認められなかった.蛍光抗体直接法により,症例1では基底膜と血管にC3が,症例2は血管にIgMとC3の沈着が認められた.HUによる潰瘍の形成はHUの細胞毒性や創傷治癒阻害作用によるといわれている.自験例の所見より,それらのHUの作用に加えて免疫複合体の沈着も潰瘍の形成に関与していると考えた.