日本皮膚科学会雑誌
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108 巻 , 3 号
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  • 尾下 宜民, 李 英蘭, 坪井 良治
    1998 年 108 巻 3 号 p. 217-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    創傷治癒過程における創収縮の機序を検討する目的で,ヒト線維芽細胞を包埋培養したコラーゲンゲルの収縮に対する諸因子の影響を解析した.方法は線維芽細胞1×105cells/mlをコラーゲンゲル(最終濃度0.21%)に添加して12時間培養し,線維芽細胞がゲル内で十分伸展した後ゲルを浮遊させ,各種試薬を添加してさらに培養し,生じたゲル収縮の程度を表面積を計算することにより算出した.その結果,1.0%牛胎児血清の添加により生ずるゲル収縮は6時間後より48時間以上継続して認められた.この収縮はcytochalacin Dを添加することにより抑制されたが,H-7,genisteinは影響を与えなかった.またサイトカインの中ではtransforming growth factor (TGF)-β,plateletderived growth factor (PDGF),endothelin (ET)-1にゲル収縮作用がみられた.さらに,PDGFによるゲル収縮はTumor necrosis factor (TNF)-αを添加することにより促進した.次にケラチノサイトや線維芽細胞の培養上清中のゲル収縮促進因子を検討したところ,ケラチノサイトの培養上清にのみゲル収縮作用が認められた.この作用がET拮抗剤により抑制されたことからケラチノサイトから分泌されたET-1がゲル収縮を引き起こしたと考えられた.以上の実験結果から,線維芽細胞を包埋培養した時に認められるコラーゲンゲルの収縮は種々の要因により規定されていることが判明した.特に再上皮化の過程でケラチノサイトから分泌されるET-1は肉芽組織の収縮,すなわち創収縮に深く関与していることが示唆された.
  • 佐久間 正寛, 小川 秀興
    1998 年 108 巻 3 号 p. 225-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    「天疱瘡の重症度と治癒効果に関するアンケート調査」の集計結果をもとに,天疱瘡の重症度に応じた有効かつ安全性の高い治療方法について検討した.特に日常診療上,頻度の高い病型である尋常性天疱瘡は落葉状,紅斑性天疱瘡に比べ重症度が高く難治性であり,また過量のステロイド剤の全身投与が行われているためにそれによる副作用の出現率も高かった.今回全国より集計された結果の解析によりステロイドを単独投与した場合の初回投与量(PSL換算)は,重症例に対しては40~60mg/day,中等症例に対しては30~40mg/day程度,軽症例では30mg/day以下が適正と思われた.いっぽう他の免疫調節剤や治療法との併用,とくに血漿交換療法を早期より頻回に導入することは,ステロイドの初回投与量を従来より約半分の低量に抑え,かつ臨床症状をすみやかに改善させることが容易となり,他の治療法に比べ有用であると考えた.したがって我々は,たとえ合併症がなくとも臨床症状が重篤または天疱瘡抗体価の高い症例では血漿交換療法を早期より積極的に施行し,それによりステロイドの副作用を未然に抑え寛解および社会復帰をはやめ,患者QOL(Quality of Life)を高めることが重要であることを提唱した.
  • 上出 良一, 松尾 光馬
    1998 年 108 巻 3 号 p. 235-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    全国大学付属病院108施設ならびに日本臨床皮膚科医学会(日臨皮)東京支部会員554名を対象に,人工的タンニング装置に起因する健康障害のアンケート調査を行った.249施設から回答を得,うち75施設で計119名の健康障害患者を診察していた.男女比はほぼ1:1で,10代と20代が8割近くを占めた.障害の内容(150件,重複あり)は急性障害であるサンバーン様症状84件(UVA蛍光ランプによるもの79件,PUVAによるもの4件,UVBランプによるもの1件),疼痛10件,瘙痒7件,光線過敏症5件,発熱2件,嘔気1件あった.慢性障害である黒子様色素沈着,花弁状色素斑などの色素性病変が16件,その他16件(うち皮膚乾燥6件),眼障害では表層角膜炎が2件にみられた.また病状の記載のないものが7件あった.人工的タンニングに対する意見を寄せた皮膚科医106名中,日焼けサロンに否定的な意見85件,肯定的な意見7件,賛否不明14件であり,否定的意見が約80%と大多数を占めた.皮膚科医としてUVA照射による人工的タンニングの危険性を一般に啓蒙していく必要がある.
  • 梅澤 慶紀, 大井 綱郎, 古賀 道之, 伊保谷 憲子, 吉田 雅治
    1998 年 108 巻 3 号 p. 243-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    乾癬のシクロスポリン(CYA)療法の重要な副作用の1つに腎障害がある.このため,CYAを投与した乾癬患者4名に腎生検を施行し組織学的に検討した.症例は47歳女性,58歳男性,56歳男性,45歳男性であり,CYA療法18ヵ月後,13ヵ月後,7週後,14ヵ月後に腎生検を施行した.組織学的には,いずれもCYAによる慢性腎障害の所見である,間質の縞状線維化と尿細管萎縮を標本上10~30%に認め,また全例で一部の腎糸球体の硬化像が見られた.この他にCYAに伴うとされる組織学的変化は,1例で細動脈に血管のムコイド様内膜肥厚が見られ,1例で傍糸球体装置の過形成が認められた.この2例では,血清クレアチニン(Cr)値の上昇を認めたが,CYA中止により改善が認められた.腎移植患者のCYA腎障害の組織学的検討を行った報告は多数あるが,乾癬患者におけるCYA腎障害の組織学的検討を行った報告は少ない.今回の検討で,CYA腎障害は機能的には可逆的であること,経過中の検査所見として血清Cr値,蛋白尿が指標として重要であること,危険因子として投与期間,併用薬,トラフレベル,個人の感受性の差など多因子があることを再確認した.
  • 辰野 優子, 窪田 泰夫, 高橋 重明, 名越 温古, 溝口 昌子
    1998 年 108 巻 3 号 p. 253-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    慢性骨髄性白血病でhydroxyurea(HU)を内服中に下腿潰瘍を合併した2例について報告する.症例1:56歳,女.内服2年2ヵ月後に右足関節周囲に多発性潰瘍が出現した.内服は継続し,保存的治療で潰瘍は一旦軽快した.症例2:65歳,男.内服1年8ヵ月で右踵部および外踝に潰瘍が出現した.内服を中止して保存的治療で潰瘍は略治した.組織は2例とも明らかな壊死性血管炎は認められなかった.蛍光抗体直接法により,症例1では基底膜と血管にC3が,症例2は血管にIgMとC3の沈着が認められた.HUによる潰瘍の形成はHUの細胞毒性や創傷治癒阻害作用によるといわれている.自験例の所見より,それらのHUの作用に加えて免疫複合体の沈着も潰瘍の形成に関与していると考えた.
  • 1998 年 108 巻 3 号 p. 261-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
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