日本皮膚科学会雑誌
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原著
フォトトリコグラム法を用いた女性のびまん性脱毛症の定量的解析
植木 理恵坪井 良治山下 真之高森 建二
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2002 年 112 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
頭部のびまん性脱毛を主訴とする女性患者79人と健常女性27人の毛成長パターンを,非侵襲的なフォトトリコグラム法を用いて解析した.方法は頭頂部の頭髪を直径約1.5 cmの範囲ではさみで刈り,刈った直後と48時間後の画像から単位面積あたりの毛髪本数と長さを測定し,あわせて刈った頭髪の毛直径を測定した.その結果,びまん性脱毛を訴える患者は,正常コントロール群と同様のパターンを示す群(12.7%)と異常値群(87.3%)から成り,異常値群はさらに,毛の細い群,毛の伸びが遅い群,毛が細く伸びの遅い群,など7群に分類された.患者背景として,女性ホルモン補充療法4人(5.1%),ミクロゾームテスト陽性5人(6.3%),血清鉄低値9人(11.4%)などが含まれていた.本法は視診上異常を認めない程度の軽微な変化も検出することが可能で,女性のびまん性脱毛症の定量的評価や,脱毛の原因や予後を予測するために有用な方法と考えられた.
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© 2002 日本皮膚科学会
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