日本皮膚科学会雑誌
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原著
ドセタキセル(タキソテール®)により多発性肺転移が消失した血管肉腫の1例
藤沢 康弘山本 明史岩田 浩明野呂 佐知子山﨑 直也
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2003 年 113 巻 10 号 p. 1545-1551

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抄録

血管肉腫は極めて予後不良であり多くの症例で肺転移を生じ,しばしば血気胸を起こして致死的となる.血管肉腫に対する化学療法としてこれまでに施行されてきたものとしてはCYVADIC(cyclophosphamide,vincristine,doxorubicin,dacarbazine)療法があり,一部では高い奏功率が報告されている.しかし一方ではその治療効果に疑問を示す報告もある.しかもCYVADICは重篤な骨髄抑制や消化器症状を伴うことから高齢者への投与はかなりのリスクを伴う.近年血管肉腫に対してタキサン系の抗癌剤による治療が試みられ,その高い抗腫瘍効果が報告されている.そこで我々は皮膚転移により発見された乳房原発血管肉腫の多発性肺転移を来たした症例に対して,ドセタキセル(商品名:タキソテール®)によるweekly化学療法を試みた.その結果2コース施行後,肺転移巣は完全に消失し2003年2月現在,5カ月間完全寛解を維持している.自験例の詳細およびタキサン系抗癌剤について若干の考察を加え報告する.

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© 2003 日本皮膚科学会
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