2003 年 113 巻 4 号 p. 437-442
47歳,男.平成3年頃より左腰部に腫瘤が出現.放置していたところ徐々に増大傾向を認めた.約8年後近医受診し,生検にて隆起性皮膚線維肉腫(Dermatofibrosarcoma protuberans,以下DFSPと略す)が疑われ,当科紹介入院.腫瘍を摘出したところ,病理組織像にて約60%に線維肉腫(Fibrosarcoma 以下FSと略す)様病変を伴ったDFSP-FSの像を呈していた.その後定期的に経過観察をしていたが,術後約1年経過のCTにて左肺S5領域に2 cm大の結節性陰影を認めた.生検にて悪性腫瘍が疑われたため左上葉部分切除施行したところ,腰部DFSPのFS成分とよく似た組織像を呈していた.DFSP-FSは通常のDFSPに比べ遠隔転移をする事があり,厳重な経過観察が必要である.