日本皮膚科学会雑誌
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原著
多施設合同による帯状疱疹の年間統計解析の試み(2000年4月~2001年3月)
石川 博康玉井 克人見坊 公子角田 孝彦澤村 大輔梅木 薫菅原 隆光矢島 晴美佐々木 千秋熊野 高行三上 英樹三上 幸子高木 順之門馬 節子菊池 朋子
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2003 年 113 巻 8 号 p. 1229-1239

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抄録

帯状疱疹の現状把握を目的とし,2000年4月から2001年3月までの1年間に東日本地区の総合病院と診療所の計11施設を受診した帯状疱疹患者1,065例を対象に統計的解析を行った.結果として,1)8月が最多であったが季節差は認めなかった.2)男女比では女性が多く(M:F=1:1.4),年齢別では60代を中心とした大きな峰と10~20代の小さい峰との2峰性を示した.3)発症部位は上肢~胸背部が最多で31.2%を占め,胸髄部発症例は全体の50.8%であったが,部位別分節別で比較すると頭顔部が最多であった.4)汎発化は2.3%にみられ,70代を中心に頭顔部症例が多かった.5)PHN(postherpetic neuralgia:帯状疱疹後神経痛)は5.3%に残存し,70代を中心に腹背部に多かった.6)抗ウイルス薬は全体の79.0%に投与されていた.7)頭顔部症例の13.4%に眼病変が,1.1%にRamsay-Hunt症候群がそれぞれ合併していた.8)全体の8.8%に基礎疾患を認めた.9)2回以上の再罹患率は全体の3.6%であった.10)医療機関別の比較では患者の年齢層が有意に異なっており,総合病院は60代以上の高齢者主体で診療所は50代以下が多かった.

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© 2003 日本皮膚科学会
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