日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
日光角化症の附属器上皮内進展に関する病理組織学的検討
安齋 眞一福本 隆也木村 鉄宣
著者情報
ジャーナル 認証あり

2007 年 117 巻 11 号 p. 1737-1743

詳細
抄録
2001年5月から2005年8月の52カ月間に札幌皮膚病理研究所で病理診断した日光角化症1,466例について,腫瘍細胞の附属器上皮への進展の有無を検討した.検討した日光角化症は,女性に多く(男女比1:1.7),顔面に多く発生していた(87.7%).切除時年齢は平均76.8±10.9歳で,女性(78.4±10.8歳)は,男性(74.1±10.5歳)より有意に高かった.臨床病理学的に,日光角化症をBowen様型,早期型,そしてそれ以外の通常型の3型に分類した.Bowen様型は22.2%,早期型は7.6%,そして通常型は70.2%であった.女性では男性に比してBowen様型と早期型の占める割合が有意に高かった.切除時年齢は,Bowen様型(平均82.1±8.9歳),通常型(平均76.1±10.4歳),早期型(平均68.1±13.0歳)の順に高かった.全1,466症例中1,044例(71.2%)で毛包あるいはエクリン汗管上皮内に腫瘍細胞の増殖を確認した.腫瘍細胞の附属器上皮への進展のある例は切除時年齢(平均77.5±10.4歳)が,無い例(平均75.1±11.9歳)より有意に高かった.発生部位別の附属器上皮への進展の有無を見ると,顔面発症例では1,285例中924例(71.9%)と高率であった.病型別の附属器上皮進展率は,Bowen様型が83.1%と最も高く,ついで,通常型の72.5%,早期型では25.0%であった.日光角化症では,腫瘍細胞の附属器上皮への進展は稀ではないことを認識しておくことはその診断および治療面において重要である.
著者関連情報
© 2007 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top