日本皮膚科学会雑誌
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原著
爪下グロムス腫瘍に対するトレパン使用のくり抜き手術
福田 知雄
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2009 年 119 巻 2 号 p. 183-188

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抄録

グロムス腫瘍は,指の爪下に好発する有痛性腫瘍としてよく知られている.グロムス腫瘍には単発性と多発性があるが,単発性は結合織性の被膜に包まれ,周囲との境界が明瞭であるという特徴を有している.その特徴を活かし,私は以前より,腫瘍が爪下に透見される本症の症例に対し,トレパンを用いたくり抜き手術を行ってきた.手順は,伝達麻酔下に腫瘍上の爪甲をトレパンで丸くくり抜き,その後,別のトレパンに換え腫瘍を中に押し込むようにゆっくり回す.最後に下床を形成剪刀で切り終了である.本法を行った43歳男性(右拇指),29歳男性(右示指),27歳女性(左中指)の3症例を代表例として提示する.術後の爪甲の変形は無いか,軽度であり,術中・術後の患者の苦痛も少なく,患者満足度は高い.通常の切除に比し,簡便かつ迅速に行える手技であり,推奨できる方法と考え報告する.

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© 2009 日本皮膚科学会
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