52歳,男性.初診の20年前にバイクで転倒,左肘部に挫創を受傷し,縫合処置を受けた.初診の3年前に同部が腫張し,MRIで膿瘍が疑われ切除された.数カ月後に腫瘤・膿瘍が出現し,以後切除と再燃を繰り返していた.抗結核剤や抗真菌剤を内服するも効果なく,精査目的で2007年5月10日当科紹介受診となった.初診時,左肘外側の創痕周囲に一部に瘻孔を伴う不整形な腫瘤を数個と2 cm大の膿瘍を認めた.病理組織では内部にgrainを伴う膿瘍と周囲の肉芽腫を認め,培養で
Nocardia transvalensisを分離し,頭部・胸部CTではノカルジア症を示唆する所見はなく,菌腫型皮膚ノカルジア症と診断した.塩酸ミノサイクリン内服・点滴とスルファジアジン銀外用,温熱療法にて軽快した.
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