日本皮膚科学会雑誌
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原著
多形紅斑を呈し,高サイトカイン血症と病勢の一致した成人ヒトパルボウイルスB19感染症
猿田 寛小野 文武和田 有希吉田 博安元 慎一郎橋本 隆
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2009 年 119 巻 9 号 p. 1829-1835

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抄録

52歳男性.2007年4月初旬より咽頭痛,関節痛が出現した.40°C台の発熱と下肢,躯幹に紅斑を認め,4月7日当科に入院した.躯幹・四肢に多形紅斑様の皮疹がみられ,眼瞼結膜の充血,頸部リンパ節の腫脹を伴った.検査成績は白血球数正常,リンパ球数低下,CRP強陽性,軽度の肝機能異常がみられた.病理組織所見として表皮に散在性に海綿状態があり,真皮表皮境界部に液状変性とinterface dermatitisを認めた.ウイルス学的検索にて,抗ヒトパルボウイルスB19(以下HPV B19)IgM抗体陽性が判明し,対症療法を行ったが,経過中に一過性の心房細動を合併した.病勢の指標としてCRP,RAPAに加え,IL-6,IL-8の測定が有用であった.成人のHPVB19感染症では非定型的な皮疹とともに関節痛,発熱などの全身症状が強く,稀に心筋炎などの合併症が知られており注意を要する.

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© 2009 日本皮膚科学会
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