2011 年 121 巻 2 号 p. 161-165
2005年9月から2008年10月までの約3年間に東京医科大学病院皮膚科および臨床検査医学科において,human immunodeficiency virus(以下HIV)感染症を有し駆梅療法を施行したHIV合併梅毒75例について統計学的に検討した.HIV合併梅毒の患者数は60人,症例数は75例であった.また,同期間内の梅毒単独感染者数(HIV未検例を含む)は30人であった.罹患年齢は,梅毒単独感染では40,50歳代に多いのに比し,HIV合併梅毒では30,40歳代に多く,全例が男性であった.臨床症状を伴わない潜伏梅毒は約半数であり,皮膚症状を伴う顕症梅毒では一期梅毒疹より第二期梅毒疹の方が多かった.梅毒診断時のCD4陽性リンパ球数は特に低値に偏る傾向は認めなかった.駆梅療法はアモキシシリン(AMPC)を中心としたペニシリン系抗生物質が投与されていた.全例が治癒していたが,投与期間が1カ月以内の症例は51例であった.2回以上梅毒を罹患し駆梅療法を要した患者数は13人と高率であった.また梅毒を契機としてHIV感染症が判明した患者数は8人であった.