日本皮膚科学会雑誌
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121 巻, 2 号
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皮膚科セミナリウム 第70回 水疱症
  • 新熊 悟, 清水 宏
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第70回 水疱症
    2011 年 121 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    表皮水疱症は表皮基底膜構成蛋白をコードする遺伝子の変異により皮膚脆弱性が生じ,表皮が真皮から剝離し水疱を形成する.裂隙の形成部位により大きく単純型,接合部型,栄養障害型に分類されるが,2008 年に新たに提唱された新国際分類では,これらの病型に当てはまらない複数の部位に裂隙を形成するキンドラー症候群が新たに追記された.本稿では新国際分類に即し,これらの疾患の病態と診断について概説した.
  • 山上 淳, 天谷 雅行
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第70回 水疱症
    2011 年 121 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    自己免疫性水疱症の病態および診断について,天疱瘡群,類天疱瘡群(表皮下水疱症)に分けて,最近の知見を交えて解説する.正しい診断のためには,臨床症状から自己免疫性水疱症を疑って,病理組織検査を行うとともに蛍光抗体直接法で患者皮膚への自己抗体の沈着を確認し,標的抗原をつきとめるための血清学的解析を含め,すべての情報を論理的に統合することが重要と考えられる.
  • 名嘉眞 武国, 石井 文人, 橋本 隆
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第70回 水疱症
    2011 年 121 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    水疱症の中で自己免疫性水疱症に関しては代表的疾患である天疱瘡と水疱性類天疱瘡はガイドラインが作成され,今後も少しずつ追加検討していくと思われる.治療に関してはこれらの内容を中心に施行していくであろうが,実際の臨床現場では苦慮することがあり症例毎に治療法を再検討していく必要がある.先天性表皮水疱症は対症療法が中心だが,最近局所療法において患者さんにとって有意義な項目が保険的に新規承認された.
原著
  • 服部 ゆかり, 平井 真喜子, 南 俊介, 石戸谷 哲, 大西 裕之
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    術後臀部皮膚障害をきたした2症例に対して,原因検索のために画像・生化学検査を行った.いずれの症例においても,血清CPK値が有意に上昇しており,MRI画像にて大殿筋の広範な損傷の存在が明らかになった.大殿筋の損傷部位は,手術時および術後体位における圧負荷部位とは明らかに異なっており,術中および術後に発生した褥瘡とみなしうる可能性が非常に低いことも考慮すれば,臀部の皮膚障害は下床の大殿筋損傷に伴って二次的に発生したものであることが示唆された.大殿筋の損傷は,電気メスから発生した電流が大殿筋へ集束したために発生したのではないかと推察している.術後臀部皮膚障害を診た際には,その原因の解明に画像的検索が有用であると考えられた.
  • 小島 知子, 馬渕 智生, 梅澤 慶紀, 松山 孝, 小澤 明, 近藤 泰輔, 河野 通浩, 富田 靖, 鈴木 民夫
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 2 号 p. 157-159
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    1歳8カ月,女児.毛髪は金色,虹彩は褐色,皮膚は白色で蒙古斑は認めない.白皮症関連遺伝子解析の結果,OCA 4型の原因遺伝子であるSLC45A2遺伝子に既知の病的変異p. V507Lをヘテロ接合性に認めた.他の白皮症関連遺伝子に変異を認めなかったことからOCA 4型と考えた.経過観察中であるが,3歳の時点で,毛髪,皮膚ともに色素の出現を認めた.また,眼振,羞明等の症状はなく,眼科検診で,虹彩,網膜の色素異常はなかった.
  • 川口 敦子, 斎藤 万寿吉, 山元 泰之, 福武 勝幸, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    2005年9月から2008年10月までの約3年間に東京医科大学病院皮膚科および臨床検査医学科において,human immunodeficiency virus(以下HIV)感染症を有し駆梅療法を施行したHIV合併梅毒75例について統計学的に検討した.HIV合併梅毒の患者数は60人,症例数は75例であった.また,同期間内の梅毒単独感染者数(HIV未検例を含む)は30人であった.罹患年齢は,梅毒単独感染では40,50歳代に多いのに比し,HIV合併梅毒では30,40歳代に多く,全例が男性であった.臨床症状を伴わない潜伏梅毒は約半数であり,皮膚症状を伴う顕症梅毒では一期梅毒疹より第二期梅毒疹の方が多かった.梅毒診断時のCD4陽性リンパ球数は特に低値に偏る傾向は認めなかった.駆梅療法はアモキシシリン(AMPC)を中心としたペニシリン系抗生物質が投与されていた.全例が治癒していたが,投与期間が1カ月以内の症例は51例であった.2回以上梅毒を罹患し駆梅療法を要した患者数は13人と高率であった.また梅毒を契機としてHIV感染症が判明した患者数は8人であった.
  • 二階堂(豊野) まり子, 紺野 隆之, 吉澤 順子, 山田 真枝子, 鈴木 民夫
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 2011/02/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    症例1)72歳,男性.乳房外Paget癌(外陰部)にて,全身麻酔下皮膚悪性腫瘍切除術および植皮術施行.1週間後,右胸部痛が出現したためCT施行したところ,右肺動脈血栓を認めた.抗凝固療法を開始し,一時的下大静脈フィルターを留置した.症例2)82歳,男性.全身熱傷(50%)にて当科入院.左大腿静脈よりカテーテル留置中,6週間後のCTで左外腸骨静脈に血栓を認めた.出血性直腸潰瘍併発のため,すぐに抗凝固療法を開始できず,12週間後のCTで下大静脈に血栓を認めた.症例3)85歳,女性.尋常性天疱瘡の加療のため当科入院.ステロイドによる原疾患コントロール中にDICを併発し,右大腿静脈よりカテーテルを留置したところ,5週間後のCTで右外腸骨静脈に血栓を認めた.抗凝固療法を開始し,さらに恒久的下大静脈フィルターを留置した.近年,長時間手術の増加,および高齢化に伴う高リスク患者の増加があり,皮膚疾患治療中の合併症としての肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症は,常に念頭におくべきである.
委員会報告
学会抄録
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