2013 年 123 巻 12 号 p. 2257-2261
外陰部の乳房外Paget病では腋窩に同時性,異時性に皮疹を生じることがある.また臨床的に皮疹のない部であっても組織学的にPaget細胞が存在する可能性があり,外陰部に病巣を有する患者では,腋窩に皮疹がなくても皮膚生検を考慮すべきとされている.我々は,外陰部の乳房外Paget病30例で両側(60カ所)に腋窩部の皮膚生検を施行し検討したところ,うち1例のみで片側腋窩に陽性所見を得た.自験陽性例および既報告例の病理組織学的検討からは,いわゆるoccult Paget’s diseaseでみられる胞体の明るい細胞がすべて真のPaget病であるかは疑問で,Toker細胞の可能性があると思われる.外陰部に病巣を有する患者に対し,臨床的に皮疹のない腋窩の皮膚生検を一律に行う意義は乏しいと考える.