2019 年 129 巻 3 号 p. 333-340
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は,ヒトTリンパ指向性ウイルスI型(Human T-lymphotropic virus type I, HTLV-1)が原因で発症する最も悪性度の高い血液腫瘍の一つである.多剤併用化学療法の改良のほか,若年者では同種造血幹細胞移植も取り入れられ,化学療法単独と比較して良好な成績が報告されている.最近,ATL患者の90%以上で腫瘍細胞に発現しているCCケモカインレセプター4(CCR4)に対する分子標的治療薬であるモガムリズマブ(ポテリジオⓇ)が本邦で開発され,2012年5月に発売された.多発性骨髄腫の治療に用いられてきたレナリドミドが2017年3月から再発・難治性の症例に使用できるようになり,また現在臨床試験が進行中の薬剤もある.