日本皮膚科学会雑誌
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皮膚上皮線維の研究
森 真章
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1958 年 68 巻 12 号 p. 985-

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抄録

皮膚上皮線維Tonofibrils,EpithelfasernはE. Kromayer(1892)がその確実な染色方法を発表して以来,Patzelt,Hoepke,P.G. Unna等多数の研究者により観察の対象とされてきた,表皮細胞内に存在し,且つ又これを貫通する線維である.このものは表皮の全層に存在するが,その形態が比較的顕著な観を呈するのは有棘層に於てである.しかしこの層に於ける上皮線維系の構造,形態も今日なお十分明らかには記載されていない.著者は本篇に於てこの皮膚上皮線維の観察,検索に従つたものであるが,先ず健常皮膚に於ける本線維の形態にいくつかの新しい知見を得て上皮線維系の構造,並にこれと有棘細胞との立体的,構築的関係を理解することが出来た.これに次いで著者は又,健常皮膚以外,上皮性皮膚腫瘍,湿疹,水疱性皮膚疾患に於ける本線維系の所見をも観察した.本来上皮線維は外力或は組織内の力学的状況によつて支配されるものであると考えられており,緊張小線維Tonofibrilの名称はこれに由来するが,その間の関係に就ての従来の考察は極めて漠然としている著者は自ら観察した所見に基ずいて,この点に就て考察するとともに,上皮繊維の細胞体外部分,或は上皮線維がその中を走ると見られている表皮細胞間橋に存在する,所謂橋結節の意義を語ると見られる所見をも得た.

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© 1958 日本皮膚科学会
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