日本皮膚科学会雑誌
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皮膚メラニン沈着の発生機序に関する研究 炎症性皮膚病変に於ける表皮メラニン及び色素細胞の所見
太田 逸郎
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1958 年 68 巻 12 号 p. 1012-

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抄録
皮膚の炎症性病変に際し,色素沈着,時に又色素脱失を生ずるのは屡々見るところであるあが,これに関与するものとしての皮膚炎症時乃至その後に於ける色素細胞Melanocyteの所見は今なお十分明らかにされていない.皮膚炎症に伴う色素沈着の消失に関して,Pautrier-Woringer(1937)は瘙性皮膚疾患の最盛期には表皮基底層並びに真皮のメラニンMelanin沈着が消失して,殆どこれを認め得ないのに,炎症の消退に伴つてそれは再現すると記載し,Alexander(1927)はアトピー性皮膚炎の最盛期表皮基底細胞のメラニンは或は増加し,或は減少すると,更に森岡(1954)はPautrier-WoringerのReticulose lipo-melaniqueを検索した業績中に,紅皮症の炎症硬度の時期表皮にメラニン沈着を殆ど認めず,症状の軽快と共にこれを見るに至るとしている.この皮膚病変に関連する皮膚色素沈着の消長を稍々理論的に取扱つたものとして,Rothman(1952)は,皮膚炎症後の色素増加をメラニン形成に抑制的に作用するSH基の酸化或は崩壊に帰し,又Rappaport(1956)はアトピー性皮膚炎の急性期基底細胞にメラニンの欠如するのは表皮細胞内並に細胞間浮腫が色素細胞の突起と表皮細胞との接触を絶ち,ためにメラニンの主として基底細胞への接触を不可能とする結果であると説明している.扨て,著者は一般に表皮病変を主徴とする炎症性皮膚疾患に於て皮膚炎症に伴う表皮メラニン沈着の消長,及びこれに関与する色素細胞の態度を明らかにすべく,アトピー性皮膚炎,紅皮症,乾癬,脂漏性皮膚炎,ウイダール苔癬,急性接触皮膚炎の経過に於て即ち斯等疾患の最盛期,軽快期並びに治癒期に於て,病巣表皮内メラニンの分布状態並びに色素細胞の所見を求めた次第である.
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© 1958 日本皮膚科学会
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