1958 年 68 巻 2 号 p. 73-
チロジナーゼ活性に必須とされる銅と結合する物質によつて,チロジン―チロジナーゼ反應が阻止される実驗は多くの人によつて試みられている.即ち多くの報告された実験では,チロジナーゼは植物,動物組織の抽出チロジナーゼが使用されこれ等のチロジナーゼとSubstrateの酸化によるO2の消費量を測定し,これに阻止物質と稱せられるものを附加した時の酸素消費量により,そのInhibition periodの時間的な差異によつて,阻止或は促進的に作用すると述べられている.或は又,抽出チロジナーゼを使用して,そのSubstrateと試驗管内で反應せしめ,メラニンの形成をColorimetricに測定し,附加した阻止物質による時間的差異によつて,阻止的に,或は促進的に作用すると報告されている.人体正常皮膚を使用し,そのチロジン―チロジナーゼ反應について,銅結合物質の影響を檢討した実驗は未だ報告されていない.私は我々のチロジナーゼ反應に対し,所謂銅結合性物質と稱せられる数種のものにつき実驗したので報告する.