日本皮膚科学会雑誌
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皮膚病源絲状菌及びCandida albicansのアミノ酸同化作用に就て 第2報 培地及び菌體中の遊離アミノ酸に就て
眞保 謙一
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1958 年 68 巻 2 号 p. 93-

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抄録
微生物の細胞原形質の主体をなすものは蛋白質であり,蛋白質を構成するものはアミノ酸である.從つて微生物が発育するには培地中の窒素源を種々のアミノ酸に変え,これらのアミノ酸を結合して菌体蛋白を生成して行かなければならない.故に培地及び菌体中の遊離アミノ酸は微生物の発育と密接な関係を有するものと思われる.更に近年諸々の抗生物質の微生物に対する作用機序としてアミノ酸及び蛋白代謝の阻害によるとする説が唱えられている.即ちGaleはペニシリンに感受性を有するStaphylococcusは外部よりグルタミン酸を攝取し菌体中に遊離の状態で蓄積するが,耐性菌では外部より攝取せず合成能を有することから,ペニシリンの作用機作として核酸により促進される蛋白合成の阻害によるものと推定している.猶GaleはクロラムフェニコルがStaphylococcus aureusのグルタミン酸が結合されて蛋白になるのを阻害すると発表している.又尾藤はStaphylococcus aureusのペニシリン耐性菌は感受性のあるものより菌体内に遊離アミノ酸が少いが,グリシンのみは多く認められると述べている.更に水野及び大津はStaphylococcusのデヒドロストレプトマイシンに対する耐性菌と非耐性菌とで菌体内に存在するグルタミン酸とアスパラギン酸との比が異なるとのべている.更に培地中の遊離アミノ酸の変化は諸々の微生物により多少異つているが大体一定している.GaleはStaphylococcus aureusの培養濾液中にはアミノ酸はPeptid型として存在するが遊離の状態では認められないとのべている.しかしJones and HoltmanはSalmonella pullorumのグルタミン酸を含む培地にアラニンが生成されることを認め,Goodlow,Braun and MikaはBrucella abortus,Brucella limitisの液体培地中にアラニンが蓄積されることを見出した.又King and ServellはBrucella subtitisによりPyruvateとアンモニヤを含む培地にアラニンが生成されることを認めた.その他Gershenfeld and BernsteinはE. coliの培養濾液中にロイシンが産生されることを認めている.Dagley,Danes and MorrissonはAerobacter aerogenesの培地中にグルタミン酸,アラニン,アスパラギン酸及びケト酸の作られることを,片山・田中は結核菌によりアスパラギン酸,グルタイン酸,アラニン,バリンが合成されることを認めた.又糸状菌については,Morton and BroadbentはAspergillus niger,Penicillium chrysogenum,Trichoderma viride等の糸状菌の細胞外にグルタミン酸,アスパラギン酸,アラニンが作られることを報告し,岡﨑・大島は皮膚糸状菌の培養液中にアラニン,ロイシン,グルタミン酸,バリン,プロリン,リジンが檢出され,岡﨑・爲政は皮膚糸状菌の菌体内にアラニン,グリシン,バリン,ロイシンが遊離の状態で認められると発表している.このように種々の微生物の培地及び菌体中にアラニン,グルタミン酸,アスパラギン酸等が多く認められるのは,これらのアミノ酸が種々の微生物により同様な機序で作られるものと思われ,これら微生物に於けるアミノ酸同化作用の一面を表わしているものと思われる.著者は單一アミノ酸を窒素源とし,燐酸カリ及葡萄
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