1961 年 71 巻 2 号 p. 135-
第Ⅰ篇では表皮角化に対する一つの指標と考えられるSH基の分布及びこれと関連してSS基及び核酸の分布に関する検索が健常皮膚に就て行なわれた.その結果,掌蹠の稍々特異な所見を除くとこれらの分布の性,年令,体部位による差異は殆ど指摘し難いことを知つた.本篇では所謂角化症に属している皮膚疾患に就て第Ⅰ篇と同様の組織化学的検討を行い病的角化を示す表皮に於けるSH基等の分布を健常皮膚のそれと対比するとともに更に角化現象に伴つてその分布に種々の変動を示すと云われる表皮グリコーゲンの消長をも併せ観察し表皮角化の本態を追求せんと試みた.